その他の関節疾患
肩関節固定術
症例:グレート・ピレニーズ、11歳齢、避妊メス
慢性的な右前肢跛行、右肩関節伸展時の顕著な疼痛身体検査において、棘上筋、棘下筋および上腕筋群の顕著な萎縮を認めた。
初回レントゲン:明らかな骨病変は認められない
治療
非ステロイド系消炎鎮痛剤を中心とした内科療法を実施した。治療初期は、反応が良かったが、次第に疼痛管理が困難になってきた。
CT検査
上腕骨近位内側領域を中心に不正な骨増生疑う所見
関節鏡
肩関節周囲の腫瘍病変の鑑別のため、関節鏡検査を実施した。上腕二頭筋腱を中心とした炎症像および滑膜炎が認められた。関節鏡下にて、上腕二頭筋腱の切断および炎症滑膜の焼烙処置を実施した。
<関節鏡写真:右肩関節内滑膜炎像>※写真は山口先生のご厚意による

疼痛コントロールを目的として、救済的手術である肩関節の固定法を提案
跛行(ハコウ)とは、歩行時の異常な歩様や姿勢のことを言います。跛行は痛みの回避、神経伝達の異常、運動器の構造異常、代謝異常などが原因で生じます。
人間は動物とは会話ができません。そこで跛行の原因を追究するために以下の診断、検査を行います。
- 1.シグナルメント/問診
- 年齢、品種、性別、体格 、罹患肢の跛行期間、外傷の有無、既往歴、家族歴、運動後に悪化するかなどの動物の個体情報を聴取します。
- 2.視診/外貌/姿勢の評価
- 立位における姿勢や頭部の高さ、四肢の負重状態を評価します。
- 3.整形外科学的検査
- 歩行検査において歩幅や歩行時の姿勢を診ることにより、異常肢を検出し、負重の度合いを評価します。頭部、脊椎、四肢を触診し、次の段階で爪先から体幹まで、四肢の筋肉量、関節屈伸時の痛み、可動域、関節液の貯留、骨の圧痛などの評価を行い、ストレス負荷試験によって、各関節の細部(腱や靭帯)の異常を検出します。
- 4.神経学的検査
- 姿勢反応や脊髄反射、脳神経の検査を行うことにより、運動制御系器官の評価をします。
- 5.画像検査
- X線: レントゲン写真により、骨、関節または周囲軟部組織の構造を評価します。
- CT: X線と比較し、微細な構造の評価が必要な場合に実施します。
- 関節鏡 :低侵襲の手技により、X線やCTでは描出不可能な関節内の構造物(靭帯や関節軟骨)の評価を行います。
- MRI :主に神経学的に異常を示す動物の評価のために実施します。
- 6.血液検査
- CBCや一般生化学の検査により、感染や炎症、代謝異常の検出を行います。また特殊な疾患が疑われる場合には炎症性蛋白、リウマチ因子などの計測も行います。
- 7.関節液
- 関節液内の細胞成分・細胞形態を診ることにより、主に免疫介在性関節炎、関節腫瘍の鑑別を行います。
- 8.内分泌検査
- 甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などの代謝異常を評価するためにこれらのホルモンの分泌を検査することもあります。






















