こいぬ科
私たちと同様、犬や猫にも様々な病気が存在しますが、ワクチンや日常管理をしっかり行う事で多くの疾患を予防することができます。健康を守るため、積極的に予防をしていきましょう。
予防接種
◆狂犬病
狂犬病は、哺乳類すべてに感染し、発症すると100%死亡する怖い病気です。
現在、日本は洗浄国ですが、発生を防ぐには、犬への予防接種を徹底することが重要です。また、日本では、年に一回の接種することが義務付けられています。
◆混合ワクチン
病気に対する免疫力を確実につけるために、初年度は2〜3回のワクチン接種をお勧め致します。翌年からは年に1回の接種をお勧め致します。当院では6種と8種のワクチンのご用意があります。
混合ワクチンで予防できるのは以下の感染症です。
●ジステンパーウイルス感染症
- ジステンパーウイルスに感染して起こります。目やに、嘔吐、下痢、発熱などの症状から始まり、進行すると脳脊髄炎や肺炎など重篤な症状が現れます。特にワクチン未接種の犬や子犬、老齢犬では急激に進行し命に関わることがあります。
●パルボウイルス感染症
- パルボウイルスに感染して起こります。激しい下痢や嘔吐、食欲不振や元気消失などの症状が現れ、重篤な場合死に至ることもあります。また、妊娠犬には流産を起こすこともあります。
●コロナウイルス感染症
- コロナウイルスに感染して起こります。症状は、腸炎による嘔吐・下痢です。成犬では症状は軽い場合が多いですが、子犬やパルボウイルス等との混合感染では重症化し命に関わることもあります。
●パラインフルエンザ感染症(別名:ケネルコフ)
- パラインフルエンザに感染して起こります。子犬で起こる代表的な呼吸器系の病気です。症状は、咳やくしゃみ、鼻水、発熱などを起こします。不衛生な飼育環境や免疫力が低下している場合、乾燥した冬場に感染が起こりやすいといわれています。
●アデノウイルス㈵型感染症(犬伝染性肝炎)
- アデノウイルスに感染して起こります。嘔吐、発熱、下痢、眼球の白濁などの症状が現れます。肝機能障害や低血糖が原因で、神経症状がでる場合もあります。子犬では死亡するケースが多く、また、ほかのウイルスとの混合感染で致死率が高まります。
●アデノウイルス㈼型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
- アデノウイルスに感染して起こります。呼吸器症状としてくしゃみ、咳、鼻水などが起こり、肺炎を呈する場合もあります。単独感染での死亡率は高くありませんが、その他の感染症と混合することで重症化することもあります。
●レプトスピラ感染症
- レプトスピラという細菌によって起こる人獣共通感染症です。レプトスピラ症は、感染しても特に症状を示さず自然治癒することが多いですが、重篤な場合、全身的な出血症状や尿毒症などにより、死亡することもあります。
◆フィラリア症とは?
フィラリアのライフサイクルフィラリア症は蚊が媒介するワンちゃんの代表的な寄生虫疾患です。蚊に刺されることによって血液中に侵入したフィラリア幼虫が体内で成長し、肺動脈や心臓に寄生することにより症状が現れます。心臓に多数のフィラリアが寄生し、血液の流れが妨げられ循環不全となって死に至る場合もあります。そのほか、咳が出る、お腹が膨らむ、元気がない、血尿が出る、等の症状が挙げられます。フィラリア症は毎月1回のフィラリア薬の投与で予防する事ができます。
◆フィラリアの投薬期間
フィラリアのお薬は体に入ってきたフィラリアの幼虫を駆除するためのお薬です。
フィラリアのお薬を飲む期間は、蚊が出現した頃から蚊がいなくなる時期の1ヶ月後までの間、月に1回投薬することでフィラリアの幼虫を駆除し、体内でフィラリアが成長して増殖する事を防ぎます。シーズン最後の投薬を忘れてしまうと、
フィラリアに感染してしまう危険性があるので、最後まで忘れずに投薬しましょう。当院では最低限、5月から12月まで予防することを推奨しています。
◆フィラリア薬の種類と効果
フィラリアの予防薬の中には、お腹の寄生虫駆除にも効果が認められるものがあります。予防できる寄生虫の種類はフィラリア薬の種類により異なります。
また、薬は錠剤やチュアブルタイプ(フードタイプ)等があります。薬の種類により投与のしやすさも異なりますので、薬の選択について迷われる際はスタッフまでお気軽にご相談下さい。
◆ノミの駆除はしっかり行いましょう!
ノミのライフサイクル
ノミが体に寄生すると、痒みや皮膚炎、ノミの唾液によるアレルギー、吸血による貧血などを引き起こします。また消化管内寄生虫を媒介します。ノミは13度以上あれば繁殖が可能な生物で、室内環境はノミにとってとても快適です。また、人間の洋服や靴に付いて家に持ちこんでしまうこともあるため、動物が室内飼いでも安心してはいけません。
◆マダニは伝染病の媒介者
練馬区内の公園でもマダニが確認されています。散歩中にワンちゃんが付けて帰ってくるかもしれません。マダニは吸血の際に動物だけでなく人間に対する病原体を媒介し、吸血による貧血や皮膚炎だけでなく、命を脅かす病気にかかる危険性もあります。
特に恐ろしい病気は「バベシア症」
バベシア症に感染すると、重い貧血や40℃を超える発熱が見られ、そのほかに元気や食欲の低下、血尿といった症状が現れます。貧血がさらにひどくなると、肝臓や腎臓の機能障害を起こし、命に関わることもあります。そのため、マダニの寄生を未然に防ぐことが大変重要です。
ノミのライフサイクルもしマダニが付着しているのを見つけても、無理にとってはいけません。化膿したり、病原体をペットに移す危険があるので、見つけたらすぐ動物病院へ!
ノミ・マダニ予防のお薬は、背中や頸の後ろにたらすスポットタイプが一般的ですが、つけるのが難しい場合は、飲み薬のご用意もございます。
当院では、生後5・6ヵ月頃の手術の実施をお勧めしております。去勢・避妊手術を行うことで、病気の予防や行動学的な変化がみられることがあります。
当院では、繁殖をお考えでない場合、去勢・避妊手術の実施をお勧めしております。
○未去勢による病気のリスク
会陰ヘルニア・精巣の腫瘍
・前立腺の病気(排便・排尿困難)
・肛門周囲の腫瘍
・会陰ヘルニア(排尿困難)
○未避妊による病気のリスク
乳腺腫瘍・卵巣の病気
・子宮の病気(子宮蓄膿症など)
・乳腺の腫瘍(乳がんなど)
・皮膚の病気
・偽妊娠など
○行動学的な変化
- ・性格に安定が得られる
- ・攻撃性が減る
- ・しつけがしやすくなる
- ※ただし、行動学的な変化には個体差があります。
○避妊手術の時期と乳腺腫瘍の発生率
- 避妊手術をする時期によって、乳腺腫瘍の発生率が大きく変わります。繁殖を希望されない場合は、早めの避妊をお勧めします。
- ≪避妊手術の時期と乳腺腫瘍発生のリスク≫
- 手術の時期 予防効果
- 初回発情前 95.5%
- 1回発情後 92%
- 2回発情後 74%
- 2.5歳以上 0%
犬の日常ケア
◆肛門腺
- 1ヶ月に1度位のペースで絞ってあげましょう。
- たまり過ぎると肛門腺破裂の原因になるので、絞りづらい場合はご来院下さい。
◆食餌管理
- 年齢や体型・体質にあった良質なフードを与えてください。当院では、国産の素材を使用したものや、体型・体質に合ったお薦めできるフードがありますので、お気軽にご相談下さい。
◆シャンプー・ブラッシング
- シャンプーやブラッシングをする事によって、全身のチェックをする事ができます。シャンプーは2〜3週間に一回、ブラッシングは毎日を目安にしてあげましょう。