麻酔科
担当獣医師:春日町病院 院長 白石春奈
酪農学園大学獣医学群獣医学科
伴侶動物医療分野麻酔学ユニット出身
山下和人教授のもと、麻酔薬と鎮痛薬の併用における麻酔薬の用量変化に関する研究を行う
東京農工大学外科学教室第二種研修医
手術麻酔の流れ
術前検査
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身体検査、血液検査、レントゲン検査などを行い、麻酔前に全身状態の確認を行います。麻酔を行う上で問題となる異常がないか、健康状態に問題がないかなどをチェックします。
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麻酔計画
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症例に合わせた麻酔薬、鎮痛薬、局所麻酔法を検討し、計画を立てます。先取鎮痛や鎮静薬などを使用することで、導入薬の要求量をできるだけ減らし、安全な麻酔導入を行います。また、導入前からモニタリングを開始し、バイタルサインの確認を行います。
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麻酔導入
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吸入麻酔薬を用い、維持麻酔を行います。
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術中管理
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手術の操作の内容や痛みに応じ、鎮痛薬の調整や、追加投与などを行います。バイタルに変動があれば、麻酔薬の調整だけでなく、昇圧剤などを用い対応します。
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覚醒
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緩やかに麻酔から覚めることで、動物の負担を少なくします。
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術後管理
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術後の疼痛にあわせ、適切な鎮痛剤を選択します。
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局所麻酔
全身麻酔と併用して局所麻酔を使用することで、全身麻酔の投与量を減らすことができるため、麻酔の安全性が高まります。
疼痛管理(Pain Control)
言葉を離せない動物では、痛みの評価がとても重要です。行動や表情、食欲など、動物をよく観察し、痛みの程度を推測・評価して、最適な鎮痛方法を選択します。
■ 術後疼痛管理
手術の内容によって痛みの程度や持続は様々です。痛みは、動物にとっても大きなストレスとなり、術後回復の妨げとなります。症例に合わせて、適切な薬剤を用いることで動物たちのストレスを軽減できます。
■ 痛みには様々な種類があります。そのため、
・痛みを感じる前から鎮痛剤を使用し、痛みを和らげる「先制鎮痛」
・作用の異なる鎮痛薬を併用する「マルチモーダル鎮痛」
などを状態に合わせて使用します。
症例
避妊・去勢手術/軟部外科手術/整形外科手術/口腔外科手術
先制鎮痛・鎮静薬などを併用することで、吸入麻酔薬の用量を少なく管理していきます。術創には浸潤麻酔を行い、痛みを和らげていきます。
予測される痛みの程度に合わせ、術後も持続的に鎮痛剤を使用することもあります。
整形外科の手術では特に痛みが大きいことが予測されるため、慎重に鎮痛薬を選択していきます。
心臓病の症例
心臓病を抱えている=手術ができない(麻酔をかけられない)というわけではありません。
まず心臓病の種類と重症度を把握します。手術の内容と、それに伴う痛みの程度を予測し、その子にとって最適な麻酔薬・鎮静薬の組み合わせを検討し、手術・麻酔計画を立てます。
必要に応じて強心剤の持続投与や、昇圧剤を使用します。